「土地の境界」についてふわっととらえている方はご一読ください。
こんばんは。環境デザイン片山です。
お昼の雑談でたまたま出た境界の話。少し思うところがありましたので書きました。
境界という概念は、それこそはるか昔から存在していたようで、思えば”縄張り”などとも言いますし、むしろ境界の線引きはどこか人間の本能的な部分もあるのかもしれません。国土境界を争えば、これはもう戦争ともなるわけです。
個人的には、土地をたくさん持っている人のほうが土地にはうるさい印象があります。(あえてうるさいと書いています)沢山あるのにええやんと思いがちですが、逆に「土地の怖さ」をよく知っているからだろうなと思います。
日本の国土について簡単に。
日本では昭和26年より、「国土調査法」に基づく国土調査の一環として「地籍調査」と呼ばれる土地の調査測量が開始されています。これは現在も続いているわけですが、進捗状況としては「対象とする国土の半分(52%)程度」と言われています。
50年かかって50%です。
これをどう見るか。国をして行っている調査なのに、なんとなく「遅いなあ」と思いませんか。しかも残りの50%には人口集中地区を多く含むため、革新的な技術の開発、または根本的な法改正等が行われない限り速度は上がりません。
さらに、すでに行われた調査のうち古いものは極端に精度が悪かったり、決して信頼できるものばかりではありません。これには実務の上でよくガッカリさせられています。
ここから感じて欲しいことは、「遅いのには理由がある」ということです。土地って単純に測量して終わり!ではなく、確定には多くの人が関係するから、そこに意思や感情があったり、なにかともう、面倒なことも多いものなんです。
現在は人工衛星を使用し、全地球的な精度で「点」の座標(座標:数字で表される位置情報と考えてください)を知ることができる時代です。もちろんmm単位で。それでも、こと土地の相隣関係については「旧公図」などと呼ばれる、明治時代などに作成された和紙の地図が最優先されたりします。
要するに、あなたの言う「先祖代々の土地」なんて全くあてにならないのです。
全地球航法衛星システムによって科学的に否定され、明治の和紙にさえ覆される可能性がある。
「登記」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、土地の登記の一番の目的は「土地(境界)に関して第三者に対抗するため」です。抵当権を設定するためではありません。笑
どうでしょうか。ご自分の土地や、親族が有する土地を大事な「資産」としてとらえ向き合っていますか。例え負の遺産であろうと知らぬ存ぜぬ、そこにあるのが当たり前、は通用しません。
寸土を失えば全土を失う、とまでは言いませんが、責任をもって管理しましょう。
(とは言え、土地の境界が、隣り合う土地所有者の合意なくして一方的に確定されることはありませんのでご安心ください。)
ちなみに環境デザインでは随時、用地測量を承っておりますが、土地の表題部の登記に関してはお近くの「土地家屋調査士」、権利部の登記に関しては「司法書士」にお問合せください。