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片山 賀友

災害について


 平成30年、”今年の漢字”は「災」が選ばれました。香川県も多大な台風被害を受けた平成16年以来、14年振りの選出だったようです。

 ここで改めて、今年一連の災害に被災されました皆様に対し、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日でも早い被災地の復興・再興をお祈り致します。

 弊社も7月豪雨災害以降、災害復旧事業計画に奔走し、気づけば12月を迎えていたという状況です。業務等を通じて少しでも安心・安全な環境づくりに寄与できるよう、引き続き尽力してまいります。

 以下は、「災害復旧事業」についてアーカイブしたものです。業務に基づき整理した内容であるため非常に限定的ではありますが、復旧事業とはどんなものか、少しでも感じて頂ければ幸いです。

1.災害復旧事業の種類

 「公共土木施設災害復旧事業」(国土交通省)

  ○対象の施設:

   河川、海岸、砂防施設、林地荒廃防止施設、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設、道路

   港湾、漁港、下水道、公園

 「農地・農業用施設災害復旧事業」(農林水産省)

  ○対象の施設:

   農地(田畑)、農業用施設(ため池、頭首工、水路、農道、揚水機、堤防、橋梁、保全施設)

 「林道施設災害復旧事業」(農林水産省―林野庁)

  ○対象の施設:

   林道(林地の利用又は保全上必要な公共的施設で、地方公共団体、森林組合等が維持管理)

 いずれの災害も、被害状況の把握や応急工事(たちまちに必要となる復旧活動)は、各施設等を普段管理している地方公共団体等が行う。

 本来であれば管理者が自らの予算措置で施設機能の復旧を行う必要があるが、国が一定の基準を設けて財政援助等を行うことで、不確定な要素(時期・規模・被害など)の多い災害を「迅速かつ確実に」復旧しようというのが、各災害復旧事業制度のあらましと言える。

2.災害復旧事業の主な流れ(出典:国土交通省HP)

 図は公共土木災害復旧事業の主な流れとなるが、他の復旧事業も基本的には同様の流れで進む。

 「災害査定」では、申請者、所管の省庁より派遣された査定官、財務省より派遣された立会官によって、被災地を直接確認して、災害復旧工法など申請の妥当性について査定が行われる。(現地ではなく、机上で行われる査定もある。)

 査定が完了すれば、国庫補助対象となる工事費がその場で決定される。このように、災害発生から一定のスピード感を保ったまま進行していくことが、災害復旧事業の特徴のひとつと言える。

3.災害における測量

 災害現場は、日常生活に「あるべきもの」が被災している状態であるから危険な場合も多く、作業も往々にして困難を伴う。ただし測量業務はその性質より、普段から平坦で安全な場所ばかりで行われるものではないため、災害という特殊性を除けば内容工程に特別の変化はない。

 ただし、「査定設計書」には被災状況等を確認できる資料として写真を添付する必要があり、内容には一定のルールもあるため留意する必要がある。

4.災害における設計(出典:国土交通省HP)

 「復旧」とは、上図のとおり従前の効用を復旧することをいう。こと設計に関しては原形復旧が基本的な考え方となるため、現地測量時より工法選定等には十分留意する必要がある。

 ただし記載のとおり、「単なる元通り」ではなく、原形復旧が不適当な場合や困難な場合、例えば再度被災のおそれがあるような不安定な構造物をわざわざ元通りに復旧するような設計は行わない。必要最低限の施設を新設したり、工法そのものを合規性や効率性に則り変更することによって「確実な復旧」を計画する必要がある。

5.災害復旧事業について

 災害復旧事業は、基本的な考え方は同じでも「対象の施設」によって所管が変わり、根拠法(公共災:負担法、農災・林道災:暫定法)も変わる。一見すると理に適っているようにも感じるが、業務を行うにあたっては最も注意すべき事項となる。一例として、各災害の補助率表記を以下に示す。

○公共土木施設災害復旧:基本負担率 2/3

○農地・農業用施設災害復旧:基本補助率 農地50% 施設65%

○林道施設災害復旧:基本補助率 6.5/10

 このように、同じ表記だと混同のおそれがある、というよりは、縦割り行政について考えさせられるが、こちらも徹底して対応する必要がある。災害に関わらず、普段から各機関それぞれの考え方があるためしばしば困惑するが、設計を行う際には、数量の数え方まで確実に、それぞれの根拠に準ずることが重要となる。

 災害復旧事業の本来の目的は「復旧」であると考える。国費を使う以上、正しく、無駄のない事業を実施する義務があるが、本末転倒にならないよう、我々ができることから注意して業務にあたりたい。

各災害復旧事業の詳細は以下のリンクより確認できます。


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